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最近考えてること

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最近考えてる二つの仮説について雑に書いていこうと思います。

Thin Application問題と対処法

Fat Protocolはクリプトを好きな人であればみなさんご存知の理論だとは思いますが、視点を変えるとアプリケーションは価値を獲得しづらい(Valuation, Monetizationの二つの意味で難しい)環境があります。

最近よく、この問題について言及している記事を目にします。

"インフラはこれ以上必要ないという合意に達したようです。必要なのは使いやすいアプリだけです。"

"5月以降、暗号市場は退屈なものとなっています。価格は低迷し、エアドロップは期待外れで、インフラプロジェクトに関する疲労は明らかであり(人々は技術的なスレッドを読まなくなりました)、リテール(私たちではなく、何でも買うリテール)はここにいません。"

この問題に関しては常にクリプトの業界で槍玉に挙げられていましたが、ついにそのセンチメントが高まってきたように感じます。日本のクリプトインフルエンサーの某氏も次のように言及しています。

自分も個人的にそれは解決したいなと思いいくつかのアプリケーションを立ち上げましたが、言及されている通り、非常に肩身の狭い環境であることを実感しました。また、Thin Applicationの原著およびLi JinのMulti-Hit Wonders: Embracing Apps With Short Shelf Lifeを踏まえると、アプリケーションの迅速な立ち上げが可能なため、複数のアプリをいくつも作ることでアプリケーションレイヤーではなんとか生き残るような方針が唱えられていますが、ぶっちゃけ現実的ではないように聞こえます。

こちらの記事の#3 Fat Protocol/Thin Applicationの項に書いてます。

現実的ではないと言うのは、何種類ものアプリで連続的にバイラルを発生させてアダプションさせるのは難しいと言うことです。今の市況で言うとPump.funみたいなアプリを何個も立ち上げるみたいなことです。

アプリケーションの戦い方仮説

この環境においてどうのようにしてアプリケーションが価値を獲得すべきかをしばしば考えますが、個人的には二つの方法があるように思います。そして、後の段落でも書く効果的利他主義を採用する方法をプラスアルファとして計三つ(か、2.5個)。

マルチチェーン対応

Fat ProtocolとThin Applicationで説明されているアプリケーションは、「一つのチェーンにおける一つのアプリ」は価値が小さくなるという風に理解できます。というか、そのような前提が存在しているはずです。

とあるアプリがあってそれが一つのチェーンに乗っている場合は、それより下にあるプロトコルよりもアプリのvaluationが小さくなる(はず)。

少し冗長な書き方になってしまいましたが、別の言い方をすると「アプリがプロトコルよりも価値を持ったときに、プロトコルのガバナンスのセキュリティ危なくね?(=アプリにプロトコルが乗っ取られちゃうよね?)」ということです。

この力学(Fat Protocol, Thin Application)を維持しながらアプリの価値を増大させる方法は、お察しの通りマルチチェーンにすることが考えられます。

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アプリを主人公にして、図を書き換えると上のような構造の逆転を狙うイメージです。マルチチェーン展開することで小さなValuationを合体させて大きなValuationにする感じです。

実際に時価総額の高いアプリケーションをみてみるとほとんどがマルチチェーン対応をしています。

とはいえ、マルチチェーン対応をするから→Valuationが上がるという因果関係かどうかは検証が必要だと思います。プロダクトの成功→時価総額が上がる&マルチチェーン対応という擬似相関の可能性も大いにあるので、あくまで仮説ということで。

Protocolization

あとはZoraのように、成功したアプリはプロトコル化しがちという傾向もあって、もう一つの取れる方針だと思います。

プロトコル側に行けば力学的に価値を獲得しやすくなるので、まあそうだよねと言う仮説です。

効果的利他主義なクリプト

効果的利他主義(Effective alturism)とは、"他者に貢献して社会をより良くするうえで、効率とインパクトの最大化を目的とする考え方"を指すそうです。あのサムバンクマンフリードも効果的利他主義者(の失敗した例)として有名です。

他にもビルゲイツやウォーレンバフェット、イーロンマスクも効果的利他主義に近い活動を行っている人物だと言われています。

めちゃくちゃ雑に説明するなら「めっちゃ稼いで、めっちゃソーシャルグッドに還元する」ということです。この主義思想を考えると、実はEthereumの世界はそれ自体が効果的利他主義なエコシステムと見ることができることに気がつきました。

インフラレイヤー

Ethereumに存在する大きな二つのコミュニティ/プロダクトは、DeFi, プロトコル, 投機といった「めっちゃ稼ぐ」ものと、公共財を指向する「めっちゃソーシャルグッド」に分かれます。

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実際に、多くのクリプトユーザは「最初は儲けたい、後からクリプトの思想に共鳴する」といったプロセスを経ているように感じます。つまり、稼げるという入り口からソーシャルグッドに転換していったのです。つまり、Ethereum経済圏それ自体が効果的利他主義な世界だと言える、そのようなExtremeな二つの要素を併せ持つように見えます。

プロダクトレイヤー

また、同様にプロダクトも効果的利他主義的に動いているものを多く見かけます。Uniswap, Nouns, ENS, Optimismなどはその例です。

効果的利他主義は別の呼び方としてEarning to give(寄付するために稼ぐ)とも言われたりします。

簡単に、各プロダクトのEarning, Giveの要素を整理すると以下です。

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ここで言いたいのは、Earningの部分は単に「マネタイズパート」ということではなく、効果的に稼ぐようにある種投機的な設計になっていると言うことです。単に稼ぐというわけではなく、なるべくたくさん稼げるようになっています。

また、GrantsやDAOのProposal, Hackathonへその収益を還元しています。

クリプト的に素晴らしいプロダクトの評価基準をアップデートする良い機会なのかもしれません。つまり、「Earning部分のない公共財」または「Give部分のない投機プロダクト」のようなものを減点対象にすべき可能性があります。もしくは別の方針として、「投機的なプロダクトと公共財的なプロダクトを繋ぐ」仕組みを構築することはより良い選択肢になる可能性があります。

つまり言いたかったのは、効果的利他主義の思想はクリプト的であり、また、人単位だけでなくプロダクトやインフラレイヤーでも効果的利他主義が体現されているかもしれないということでした。

ご意見あればめっちゃウェルカムです。以上です。

LIB
Commented 9 months ago

Awesome consome san!

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