昨日考えたこと

最近のインプットとそれに関連して自分が考えたことをまとめる。

キラープロトコル理論

この記事を読んで色々とインサイトを得ることができました。

英文のオリジナル記事はこちら↓

この記事の中ではクリプトアプリはネットワーク効果が弱く"防御力に欠ける"と表現されていました。

この表現に自分としては違和感を感じました。というのも、クリプトのプロダクトにおいて大きくは二つ、プロトコルとアプリのレイヤーが存在しますが、アプリレイヤーはそのネットワーク効果の弱さが良いこととしてこれまで説明されていたからです。

どういうことかというと、例えば

アプリ:Warpcast, Kiosk, etc,..

プロトコル:Farcaster

という構造があり、ユーザアカウントはプロトコル側にキャプチャーされています。つまり、ユーザは自分の好みによってアプリケーションを選択することができるから良いとされているのです。既存web2領域ではTwitterにキャプチャされたユーザはTwitterしか使用できない、FacebookやInstagramも同様であり、彼らの作った"Walled Garden"の中でしか生活できない状況を悪として置いている訳です。件の記事の文脈で言えば防御力の強いアプリという、ポジティブな評価になる訳です。

物事は視点によって評価が変わることは当たり前ですが、改めてこのアプリケーションレイヤーのネットワーク効果の弱さについて考える必要があるのかなと思わされました。つまり、この弱いネットワーク効果のコンセプトは良いことでも悪いことでもあるということです。

これを考えた時に、「どうりでキラーアプリが望まれているのに、なかなか登場しない訳だな」と腑に落ちました。ある種ブロックチェーンの洗脳が一つ解けたような気がしました。アプリケーションレイヤーはブロックチェーンの力学として、マスアダプションするものが登場しないのだと思います。それはあまりに高いポータビリティに由来する現象だと思います。つまり、TwitterやFacebook, Instagramがなぜマスアダプションしているかというと、アプリケーションであるがネットワーク効果が高くユーザをアプリにひっつける効果があるからです。これはブロックチェーンの世界では悪として置かれていますが、ほぼイコールでマスアダプションに関連しているはずです。逆を想像してください、アカウント(ウォレット)に紐づく金銭的・社会的資本をどのアプリにも持ち運びできるのであれば、ユーザは分散してしまうはずです。

では、キラーアプリを待ち侘びる我々は何を調整しなければいけないのか。3つのオプションがあります。

  1. クリプトはもうダメだとあきらめる

  2. それでもやはりキラーアプリを待ち侘びる

  3. キラーアプリではなくキラープロトコルを待ち侘びる

個人的には3を回答にしたいと思います。つまり、ネットワーク効果が強力であるプロトコル層にマスアダプションするプロダクトが生まれるのではないかと思います。なので結論としては「キラーアプリを諦めてキラープロトコルを待とう」ということです。

イメージとしては、「なんかみんなDwitter, fadebook, Dinstagramとかよくわかんないの色々使ってるけど、ユーザ基盤は同じプロダクトだって〜!?」みたいな感じでしょうか。

アイデンティティの糊

さっきの記事の本旨もなかなか良くて、勝手に自分なりに要約すると

「ネットワークの中におけるノード(点)がアイデンティティを持つか持たないかでネットワーク効果の正負が決まる」

という感じです。

例えば、「Twitterのアカウントが10億あって、9億botだとしたらどう思う?」という問いを考えるとわかりやすいかもしれません。botとはつまりアイデンティティを持たないノードです。TLは質の低いコンテンツに溢れるだけなので、この時にノード(アカウント)数の増加はサービスの効用を下げる負のネットワーク効果になるわけです。

で、Blockchainに目を向けると各ノード(Wallet)は、自分のWalletであったとしてもぶっちゃけアイデンティティなどほぼ無いに等しいと思います。アイデンティティの定義は難しいですが、

Own観点

  1. Wallet内に保有する資産の多様性と偏り、履歴(金銭的資本)

  2. Walletに紐づくSNS上の評判(社会的資本)

Create観点

  1. Walletが作り出したもの。アートワーク(NFT)やコイン(Memecoinなど)

この辺りで決まってくるんじゃないかと思います。

ここで、Baseとそれ以外のチェーンと分けた時に、Baseチェーンだけは他と比べてアイデンティティのベクトルが強いです。これはネットワーク効果として正なはずです。これがBaseチェーンの続伸を後押ししている可能性があります。

これはLayer2時代が到来している今、非常に重要な要因になる可能せがあります。つまり、L2時代が来る前まではユーザはEthereumだけにキャプチャされてましたが、L2が増えたことでユーザは自由に資産を持ち運びできるようになってL2がある種コモディティ化してしまった状態で、何が差別化要因になり、何がユーザをそのチェーンにstick/bond(貼り付ける)させるかというと、このアイデンティティになるのではないかと思いました。

したがって、もし自分がL2を作る機会があるならこのアイデンティティに力点を置いて展開するかもな〜と思った次第でした。

パチンコのキッズルーム文化

最近Vitalikが書いたこの記事を割とよく思い出すことがあります

  • Regens : イーサリアム内の多くの影響力のある声は、テクノロジーの構築に対する再生または再生的アプローチに取り組んでいます。Vitalik Buterin の政治と社会科学への関心に根ざした多くの Regens は、現代の制度を再活性化、改善、または置き換えることを目的としたガバナンス実験に取り組んでいます。このサブカルチャーは、実験的な性質と公共財への関心が特徴です。

  • Degens: 投機と富の蓄積にのみ突き動かされるユーザー、デジェンズ (堕落者)。デジェンズは、現在のトレンドや誇大広告に注目して幸運をつかみ、現代の新自由主義資本主義の競争から逃れようとする金融ニヒリストです。デジェンズはしばしば並外れたリスクを負いますが、皮肉なことに、ほとんど超然としたやり方でそうします。

だそうです。

個人的にもクリプトの界隈は大きくカジノユーザ(金銭的な目的を持つユーザ)と、クリプトを楽しむユーザ(楽しみを目的に持つユーザ)がいるように思ってて、大体8:2か9:1くらいの割合で存在してるように思います。

例えるなら、パチンコに行く人たちと、パチンコのキッズルームで遊ぶ人たちです。(パチンコ店における占有面積的な比喩も含んでます。)

Baseでは金銭的なプロダクトだけじゃなく、よりFunに焦点が当たったおもちゃみたいなプロダクトをよく目にするので、Baseはある種キッズルーム的な立ち位置なのではないかと思います。個人的にも、Vitalikもpolynyaも言ってたみたいに、金銭的なエンジンで動くクリプトから脱出しないといけないと思ってるので、キッズルーム文化を広げていきたいと思ってます。

散文でしたが、以上です。

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