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Elixir deUSD

概要

ステーブル運用先として結構期待されているElixirが新たにリリースしたステーブルコインについての記事で

・メカニズム

・かつてのポイントシステムへの影響

の2点を今回の記事でカバーします。

Elixir

バイナンスなどのCEX取引所以外で、オンチェーンの取引所を利用して取引をする人の割合は平均して10%を占めています。この10%の人のための流動性はこれまでオフチェーンのマーケットメーカーが提供していて、このサービスを提供することで取引所から多くの手数料をもらっていました。

https://www.theblock.co/data/decentralized-finance/dex-non-custodial/dex-to-cex-spot-trade-volume

この状況の中で、一般ユーザーでも流動性を提供して、多くの人から一定額の金を集めることができれば、ユーザーにイールドを還元できて、DEXにも流動性を提供できるという市場の需要をつかめたのがElixirになります。

ユーザーはElixirに資金を提供して、Elixirはその資金を利用してDEXの流動性の深さを増強して、DEXからサービス提供の手数料をユーザーにイールドとした形で還元することが期待されています。

Elixirは下記の図でも示されているように、RabbitX, Bluefinのなどの取引所に3割を超える流動性の提供をしています。

https://www.elixir.xyz/network

この中、かつてのElixirはそれぞれのDEXにUSDCのようなステーブルを提供するか、Elixir自体にETHを預け、Elixirが統一にDEXに提供するかの2通りのやり方に加え、さらにElixir独自のステーブルが発行されました。

$deUSDメカニズム

ステーブルコイン

ステーブルトークンは大きく2種類に分けることができて

・USDTのような現実のドルリザーブなどを使って1ドルの価値を保つような発行元

・スマートコントラクトによって流通しているトークンの量を調整することで価値を保つ発行元

Elixirの $deUSDも、Ethenaの $USDe もこの2つの要素のいずれも取り入れた感じになります。

Elixirはステーブルのビッグネームである$DAIとETH運用大手のLido $stETHの両方の割合をうまく調整することで $deUSD の投資家にイールドを返しつつ、安全性を確保します。

その上、全ての情報をオンチェーンで公開しており、いつでも本当にこれぐらいの担保があるということを確認できることで、de(decentralized=非中央集権) USD(米ドルペッグ)という名前が由来します。

$deUSD デルタニュートラル

  1. 誰もが $stETH をロックすることができ、それをロックすることで、Elixirは同額の $deUSDを代わりに渡します。

  2. $stETHを使って値段を担保しているわけですので、ETHの値動きのリスクを最小限にするために $stETHがロックされた時点でETHをショートするポジションを開きます。

  3. 取引所ではファンディングレートと呼ばれるものがあり、ショートとロングの資金差で値段が乖離しすぎないようにするためのもので、ロングする人が相対的に多いと、一定額の料金が徴収されて、ショートをする人に渡されます。Elixirはロングする人からもらう料金を $deUSD の収入源の一つとしています。

  4. しかし 3. と逆の場合が起きて、ショートをする人が増えると、Elixirが代わりファンディングレートを払う側になります、この場合では、徐々にリスク資産を減らし、$sDAIのようなステーブル資産の割合を増やしてリスクを中和します。このシステムをOCFと呼んでいます。

  5. OCFの割合が高ければ高いほど、$deUSDの担保が安定しているというわけなので、リスクの相対的に高い資産(例えばstETH)の割合を増やします。逆を言えば、ベアマーケットの際は米国債をオンチェーン化した $sDAIの割合を増やします。

Funding rateがPositive=プラスの状況では、ショートポジを持つElixirがもらう金が増え、マーケットではETHをロングしている人が多いため、安全性が相対的に高くなります。その際担保の中にあるステーブルトークンの割合を徐々に減らし、よりハイリスクハイリターンの戦略へ変わっていきます。(上記の図の右側)

ポイント

https://www.elixir.xyz/apothecary

↑こちらのリンクでElixir関連の資産のミント、ポイントの管理ができます。

Season

$deUSDのローンチを持って、Season1のポイント統計が終了して、Season 2が始まったそうです。Season 1の人には一応優遇があるっぽいですが、詳細はないです。Season 1を参加した人はCultis OGと呼ばれます。すぐ次の段落でも書いていますが、8月1日以前にElixirの $elxETH を持った人はSeason 2を参加することでSeason 1のポイントが2倍になります。

$elxETH

次の段落と必ず合わせて読んでください

今回の $deUSD のイベントが始まる前にすでに似たようなもの(つまり取引所に流動性を一括で提供できるElixirが発行したトークン)= $elxETH があり、そちらはETHとペッグしているために価値変動も生じやすいので、それよりも新たにElixirのステーブルはどうですかという感じで今回のイベントを開始しました

$elxETHの方は半年ぐらい前に入れることができて、その際では大体Q3ぐらいまでにロックがありますということでしたが、そちらのロックは今すでに解除され(8月26日)今はペナルティなしに引き出すことが可能になっています。

少しページをしたへスクロールするとこちらの画面があるはずです

$deUSDへ移行

Parties who commit to mint deUSD with their ETH will earn a max 5x potion boost, as well as an OG cultist 2x bonus on the potions previously earned from their elxETH in Season 1. By converting, you will re-lock your elxETH until December. In December, you can choose when to convert it to deUSD and lose your ETH exposure.

上記の文はそのままElixir Apothecary(ポイントイベントメインページ)からコピペしたものです。Elixirの監査報告の中にもありましたが、ここのDocsは明瞭性に欠けています、例えば今回のポイントシステムについてオフィシャルから詳細の記事はほぼないので結構悩んでいる方も多いです。要点をまとめておきました。

  • 今すぐ $elxETHを出しても確かにペナルティはないが、出さないことを選択した人はすでに得たポイントに2倍のブーストがかかった状態になりますので、実質ポイントのインフレで軽いペナルティが課されます。

  • ETH を利用して $deUSDをミントした人には5倍のポイントブースト(先の要点はこれまで集まったポイントに2倍の乗数がかかります、こちらの5倍これからのポイントブーストになります)がかかります。

  • ここでそのまま $deUSD へ移行すると選択した人は今年の12月15日まで資産がロック状態になります。

  • 今すぐ移行をすれば、事実上ETHを持ったままということになります。なぜかというと、今年の12月15日で引き出し開始した時のETHの値段で返金されます。(例えば12月になって、ETHの値段が倍増すれば、引き出せる $deUSD の量も倍増します)

操作

http://www.elixir.xyz/refer/user_huge_94465

1、Buy DeusdでdeUSDを購入して、ElixirにStakeすることでポイントをもらえます。ここにステーキングした人は7日のアンロック期間(7日経過すれば取り出せます)以外ロックがないです。3番目のelxETH移行勢の人と違います。

2、Curveの $deUSD のプールの中にLPを組んでそのLPトークンを入れることができます。(Select a pairで好きなステーブルペアを選ぶとポジション作成のページに誘導されます)

3、かつて $elxETHを入れてた人がそのまま移行できる場所。出金したい場合もこちらより行います。重複になりますが、移行した場合は今年の12月までロックされます。

多重取り戦略

いくつかの他PJと統合しているので、deUSDをさらに運用することでリスクは伴いますがエアドロの多重取りを狙うことができます。

Elixir Stable Vault

https://app.ether.fi/liquid/elixir

ETHFIのVaultで運用することで5倍のElixir Potion、3倍のETHFI Point、3倍のVeda Pointの三重取りができます。また、deUSD以外にもUSDCやUSDTなどをそのままデポジットすることもでき、手間が少なく運用しやすいです。

これであれば、Etherfiというプラスアルファのリスクがありますが、自らスワップする必要もなく、入れるコストは少ない+ガス代回収できるぐらいのEtherfiのエアドロ(シーズン4あり)をもらうことができます。

Karak

https://app.karak.network/

何度か記事で紹介していますが、EigenやSymbioticの競合のKarakと統合しており、sdeUSDを預けることで5倍のElixir Potion、1.5倍のKarak Pointが手に入ります。注意点としては、ETHFIとは違いご自身でdeUSDにSwapさらにdeUSDをステークし、受け取ったsdeUSDを預ける必要があります。

初めてKarakを使う場合はAccess Codeが必要になりますので、9TeFNぜひこちらをお使いください。Karakについてまとめた記事も書いておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。

先ほどのEtherfiと比べれば、入れるガスコストが少し多くかかってしまいます。

まとめ

ElixirはEthenaよりもOCFというシステムを導入したことでよりイールドの安定性が高いことが期待されますが、メインネットが来る前(12月15日)現在ではLP収益(CurveでLPを組んでいる人限定)以外にはイールドがない状態です。

elxETHで入れてた人はそのまま移行してもいいのではないかと思います。移行しても、今すぐ取り出したとしても、いずれもETHのエクスポジャーを受けることになりますことは注意してください。(もちろん今すぐ取り出してステーブルにすれば別ですが)

また、deUSD自体はどのアドレスがどれぐらいの担保を持っているかについても公表されていますので、チーム側から何か問題なければ資産は安全という報告も出ています。完全にアルゴリズムでトークン値段が確保されているものではなく、実際担保がありますので、私的には安心です。

QuantstampによるElixirの$deUSD 外部監査の報告の中にもありましたが、Elixir側の公表しているDocsの情報のクオリティは極めて低いです。ポイント制度、シーズン制度についてのDocs、ブログポストがないことも混乱を招くと思いますので、もう少しここら辺の透明性を上げて欲しいです。


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