サウナ浴で健康になる?

心血管疾患や総死亡が少なくなる可能性

主にフィンランドで行われた観察研究で、サウナ浴によって心血管疾患や総死亡が少なくなることが示唆されています。一方で、因果関係を証明する比較試験は少なく、結論は持ち越されています。

この記事はAI・医師共創型コンテンツ(APCC)です。

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はじめに

サウナ浴は、フィンランドをはじめとする北欧で古くから行われている伝統的な習慣です。近年、このサウナ浴が健康面でさまざまな利益をもたらす可能性が報告され、特に心血管疾患や総死亡率の低下との関連が注目されています(Laukkanenら 2015[文献2])。さらに、脳卒中や認知症、また肺炎などの感染症リスクにも良い影響を与えるかもしれないという研究も出てきています。

ただし、これらは主に観察研究の結果であり、実際に因果関係があるかどうかは、より厳密な研究が必要な状況です。

本記事では、サウナ浴と総死亡、心血管疾患、突然死、がん、感染症などとの関係に関する最新の研究動向を整理してみます。

サウナ入浴と総死亡・心血管疾患リスク

フィンランドの中年男性を対象とした前向き観察研究では、サウナ浴をする頻度が多い人ほど、心血管疾患による死亡や総死亡リスクが低下する傾向があることが報告されています(Laukkanenら 2015[文献2])。例えば、週1回と比べて週2~3回、さらには4~7回サウナに入る人たちで、そのリスクが低くなるという結果が出ています。また、突然死のリスクも下がる可能性が指摘されています。

こうした研究結果は非常に興味深いものですが、あくまで観察研究であるため、「サウナ浴そのものが原因でリスクが下がっている」とはまだ言い切れません。対象が主に中年男性であった点や、フィンランド特有の食生活やライフスタイルも考慮する必要があり、他の国や性別、年齢層で同じような効果が出るかは不明です。

心血管以外の疾患への影響

サウナ浴は心血管疾患だけでなく、脳卒中や認知症にも良い影響があるかもしれないと報告されています(Kunutsorら 2018[文献3]、Laukkanenら 2017[文献1])。これらの研究は、サウナ浴が血行促進などを通じて脳への血流改善や神経保護効果につながる可能性を示唆しています。

一方、がんに関しては、まだ信頼できる証拠が十分ではありません。有害物質の排出や免疫力アップといったサウナの効果が理論上がんリスクの低下につながるのではないかと期待する声もありますが、その点を裏付ける研究は十分に行われていない状況です。

感染症リスクへの影響

感染症に関しては、サウナ浴が肺炎のリスク低減と関連する可能性が示唆されています(Kunutsorら 2017[文献4])。これは、サウナで体温を上げ、血行や免疫機能を良好な状態に保つことで、感染症に対する抵抗力が高まると考えられています。

ただし、この分野もまだ研究が限られており、他の感染症への影響や、地域や対象者の特徴によって結果が変わらないかなど、さらなる検証が求められます。

ランダム化比較試験(RCT)やメタ分析からの知見

観察研究だけでは因果関係を明確にするのは困難です。そのため、より信頼性の高いRCTの実施が望まれます。しかし、総死亡やがんなど長期的な健康アウトカムをRCTで調べるのは非常に難しく、現時点では大規模なRCTはほとんどありません。

一方、日本で行われた研究では、慢性心不全の患者さんに低温サウナ(和温療法)を行ったところ、血管内皮機能や心機能が改善したとの報告があります(Kiharaら 2002[文献5])。これは特定の集団での特定の治療法に関する研究であり、一般的なサウナ習慣と直接結びつけることはできませんが、サウナ浴が身体機能に有利に働く可能性を示す一つの例と言えます。

今後の課題と展望

現時点の研究では、サウナ浴が総死亡や心血管疾患、さらには脳卒中や認知症、肺炎などにプラスにはたらく可能性が示されています。しかし、これらはいずれも観察研究が中心で、必ずしもサウナ浴が「直接」こうした良い効果をもたらしているとは限りません。

今後は、より大規模で多様な人々を対象とした研究や、サウナ浴の頻度、温度、湿度などを詳細に管理したRCTなどが期待されます。また、がんや他の感染症への影響、性別・年齢・人種・生活習慣の違いなど、さまざまな要素を踏まえた総合的な検討が必要です。

結論

サウナ浴は観察研究の段階では、総死亡率や心血管疾患リスク、認知機能低下や感染症リスクの軽減と関連している可能性が示唆されています。しかし、因果関係をはっきりと証明するための厳密なRCTやメタ分析はまだ不足しており、がんを含めた長期的な影響を判断するには、さらなる研究が必要です。

今後、より多くの高品質な研究が積み重なれば、サウナ浴が健康増進や疾病予防に活用できるかどうか、より明確な結論が得られることが期待されます。

参考文献

  1. Laukkanen T, et al. Sauna bathing is inversely associated with dementia and Alzheimer’s disease in middle-aged Finnish men. Age Ageing. 2017;46(2):245-249.
    Mirror 週4回のサウナが認知症を減らす?

  2. Laukkanen JA, et al. Association Between Sauna Bathing and Fatal Cardiovascular and All-Cause Mortality Events in Middle-Aged Men. JAMA Intern Med. 2015;175(4):542-548.

  3. Kunutsor SK, et al. Sauna bathing reduces the risk of stroke in Finnish men and women: A prospective cohort study. Neurology. 2018;90(22):e1937-e1944.

  4. Kunutsor SK, Laukkanen JA. Frequent sauna bathing may reduce the risk of pneumonia in men: A prospective cohort study. Eur J Epidemiol. 2017;32(12):1107-1111.
    Mirror 週2回以上のサウナは肺炎を減らす?

  5. Kihara T, et al. Repeated sauna treatment improves vascular endothelial and cardiac function in patients with chronic heart failure. J Am Coll Cardiol. 2002;39(5):754-759.

👨‍⚕Physician

「ヒートショック」が話題となり、サウナの健康に対する効果の研究があることを思い出しました。

単に「室内の温度差」が影響しているのなら、サウナでは「極端なヒートショック」が起こっていることになりますが、健康上の悪影響について指摘された研究は少ないようです。

サウナは「意図的な温度変化」であるところが違うのですが、それが本質的な問題なのかどうか。

ヒートショック文脈では、入浴の健康に対する効果や害についても、質の高い研究による検証が求められます。

こうした日常的に行う習慣についてさえ、まだわかっていないことが多い、というのが実態でしょう。

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■ Editor (Physician)
編集長 byc
2007年 「地域医療日誌」ブログ・ツイッターで活動を開始。2015年 ウェブマガジン「地域医療ジャーナル」を創刊(有料会員数 10,886人月)、2018年 オンラインコミュニティ「地域医療編集室」を運営(登録会員数 40人)。
2022年からオンラインプラットフォーム「小さな医療」(登録会員数 120人)を開設し、地域医療に携わる医師・編集長として、エビデンスに基づく医療の実践と情報発信をつづけています。

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